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復職支援ワークショップ内容のまとめ
平成31年3月吉日
  北海道理学療法士会会員 各位
  (公社)北海道理学療法士会
職能局 職域事業部
 
復職支援ワークショップ内容のまとめ
 
 復職支援事業では、復職支援ワークショップ(以下、WS)を2015年から開催しています。その中で、妊娠中あるいは育児をしている参加者の不安や悩みには共通する部分がありました。そのため、今後出産・育児をむかえるあるいは現在むかえている方に、復職WSにおいてよくある質問や先輩ママからのアドバイス、職場管理者からのアドバイスなどをまとめました。
 なお、下記Q&Aはあくまで復職WSの中であった質問と回答になっていますので、全ての職場管理者や育児経験者が同じように答えるとは限りませんので、その点にはご容赦ください。また、年々国の制度や育児環境などが変更となり内容が一部現状と異なることもあるかもしれませんが、ご参考にしていただければと思います。
 
1.     復職に関するよくあるQ&A
Q.急性期病院では書類業務が多く残業が多くなると思うのですが他の職場はどうですか?
A.(職場管理者)書類業務と残業が多かったので、書類業務の効率化と改善に取り組んだところ、定時~30分後には退社出来るスタッフが多くなっています。どの職場も同じように行くとは限りませんが、業務の効率化に取り組むことも必要だと思います。
 
Q.時短を使っている方はどの程度いるのでしょうか?
A.(職場管理者)職場にもよりますが時短勤務で働いている方もいます。時短だと周りのスタッフも時間に帰れるように気にかけて協力してくれることもあり、業務の効率化も含めて対応しています。
 
Q.時短勤務で、急に休むこともあり迷惑をかけていて、残業をしていても後ろめたさがあり残業を申請出来ない状況ですがどうしたらよいでしょうか?
A.(職場管理者)上司の理解や周りのスタッフのサポートも重要です。上司が出産・育児経験があるかどうかにも左右することがある印象です。
 
Q.職場で産休・育休・退職されている方が多く復職してからの仕事量や負担が心配なのですが、どうしたらよいでしょうか?
A.(職場管理者)育休後退職せずに働きたいこと、そして、どの程度の仕事量や勤務時間の希望があるのかを上司と相談してみるとよいと思います。
 
Q.産休・育休などで職場での状況がわからないのですが、どうしたらよいでしょうか?
A.(育児経験者)休暇中に上司や同僚と連絡をとっておくとよいと思います。
 
Q.妊娠中の仕事内容は自分から依頼するのか?上司が振り分けるのか?
A.(職場管理者)上司が出産・育児経験があるかどうかに左右される印象です。上司が女性の場合自分が経験している状況と同じように出来ると思われることがあるようです。妊娠中の身体状況については上司に伝えなければわからないため、身体状況については自分から上司に相談しましょう。
 
Q.何歳まで融通をきかせてくれるのでしょうか?
A.(職場管理者)時短勤務は3歳誕生日前日まで活用は可能です。その他は各々の職場によると思います。
 
Q.職場の中では自分が上の立場にいるため、後輩たちにどういう道を作ってあげられるでしょうか?
A.(職場管理者)制度の活用や仕事内容などその後の後輩の手本となっていくと思います。今までの家庭環境とは異なる状況で自分が出来る事と他スタッフに任せることを明確にして伝えていけると自分だけでなく周りのスタッフも動きやすいと思います。
 
Q.復職後の周りの反応はどうでしょうか?
A.(育児経験者)元々働いていた職場への復職後は、想像しているよりも周りのスタッフが気遣ってくれることが多いと思いました。
 
Q.子持ちでも新たに採用してくれる病院等はどれくらいあるのでしょうか?
A.(職場管理者)具体的な数はわかりませんが、職場責任者としては新卒者がよいか経験者がよいかとなった場合、これまでの経験値があるのでもちろん経験者の方がよいと思います。
 
Q.妊娠中はサポートされすぎるのも申し訳なく思う事があり、出来ない事を伝えるのはとても難しいと感じますがどうでしょうか?
A.(職場管理者)もし周囲のスタッフが妊娠・出産など未経験の場合には、妊娠中のことがわからないので難しいとは思いますが、自分から伝えていく事が必要だと思います。
 
Q.仕事と育児・家事の両立についてはどうしているのでしょうか?
A.(育児経験者)復職してみて考えると、育児・家事のみしている時よりも仕事をしている時の方が気分転換にもなり、仕事モードと育児モードの切り替えがしやすくなっていると思います。
 
Q.時短レシピ、手抜き法など工夫しているところはありますか?
A.(育児経験者)基本的なことになりますが、野菜は全部あらかじめ切り分けておくことで、調理の際に合わせるだけでよくなります。作り置きを1食分にわけて冷凍しておくなども一つかと思います。
 
Q.復職にあたり大変だったことはありますか?
A.(育児経験者)出産前はほとんど風邪を引くことはありませんでしたが、復帰後には子供の風邪がうつりなかなか治らず以前の自分との体調の違いに驚いています。体力勝負なところもあると思います。

Q.再就職先の探し方はどうすればよいでしょうか?
A.(育児経験者)働こうと思いハローワークに行くが、“明日から働ける状態になってから来て      下さい”と言われた経験があります。保育園の申請もしなければいけませんでした。復職希望は、正職員で定時退社出来る職場を探していました。なかなか条件が合わず、復職支援WSに参加し、その際母校の教員と巡り会い相談・紹介してもらいました。
 
2.先輩ママからのアドバイス
○復職のはじめ方について
 子どもが小さい頃は、子が母の時間を占領しトイレに行く暇もなかった記憶があり、まずできる範囲から勤務してみることも復職の一つだと思います。また、子どもが徐々に離れていき少し寂しく感じるようになっているので、忙しい・大変な育児ですが子どもの成長がみられることを楽しめると良いと思います。
 
○元職場への復職について
元職場への出戻りはどうかと思っていたが、実際に復帰してみると周りのスタッフのことや業務もある程度分かっているので、働きやすく、出戻りも良いと思いました。復職する際には、周囲のスタッフや仕事内容などわかっている方が復職後に働きやすいこともあるので、全く知らない環境・スタッフのなかで復職することも一つですが、元職場も候補としてあっても良いと思います。
 
3.職場管理者からのアドバイス
○出産・育児に関わる制度について
いろいろな制度があるが、こちらから確認しなければ事務員からは教えてくれない事があるので就業規則を知ることも大事だと思います。
所定労働時間の短縮措置等、所定外労働の制限、子の看護休暇、時間外労働・深夜業の制限などがあること、どのようなものか理解することで実際に役立つことがあります。
出産育児一時金、出産手当金、育児休業給付金などの給付金や社会保険料免除などのサポートも受けられるので、これらも申請できるか確認しましょう。
 
○急な休みや後輩指導・新人教育について
 妊娠中や保育園の迎えなどで残業が出来なかったり、時短で働いていたり、子供の体調不良で急な休みとなったりとする状況があると思います。職場の規模にもよりますが、実習担当や新人教育は1人ではなくグループで担当し、担当患者の情報共有もグループで共有すると対応しやすいです。
 
○妊娠中の体の状態について
 妊娠中の体の状態は伝えてもらわないとわからないので、我慢せずに教えて欲しいです。個人個人の配慮には差があるため、ある程度はチームを組んでサポートする事で物理的な量や強度はコントロール出来ると思います。また、妊娠と聞いて何に配慮するのが良いか、上司や同僚で知っている人もいれば知らない人もいるので、知ってもらえるように伝えて見ることも大事だと思います。
 
4.その他
○保育園の選び方について
 自宅近くの保育園は、毎日の送迎などを考慮すると、仕事が休みの日であっても預けることができ、両親と同居している場合はお迎えに行ってもらう事も出来るので、職場よりも自宅近くの保育園の方が便利なこともあると思います。また、自宅近くの保育園のお友達と一緒になれるのも小学校進学を考慮すると子供だけでなく親同士・ママ友のつながりもできるので良いこともあると思います。
 病院併設の保育園は、仕事前後の送迎や仕事終了に合わせて時間の融通が効くことがあると思います。それぞれの施設の運営方法によりますが、看護職しか預けられなかったり、規模の問題で定員数が限られていたり、仕事が休みの日は預かってもらえなかったりすることもあります。
 自宅・職場近くの保育園、病院併設の保育園それぞれのメリット・デメリットを考慮し、どこを優先するか考えることが必要だと思います。
 
○男性の育児休暇について
 はっきりとした数はわかりませんが、理学療法士の男性育児休暇を取得している職場もあります。本来であれば制度上申請を受けた職場は拒否することができないことになっています。ただし、これまで男性が育児休暇を取得する習慣がまずなかったこと、リハ部門管理者や経営者なども仕事中心で家事・育児にあまり参加してこなかった世代かもしれません。そのため、今まで男性の育児休暇取得をしたことがない職場では壁があるかもしれませんが、リハ部門管理者と相談し進めていく必要があります。男性の育児休暇取得が当たり前になるのにあと何年かかるのかわかりませんが、現状ではリハ部門管理者・経営者の思いや考えは同じではないので、どうしたら理解を得られるのかを考えなければならないと思います。
 
○実際に男性が育児休暇を取得してみて
 まず育児休暇がきっかけで家事に参加するようになりました。特に日々のご飯作りや子供のお弁当作り、女の子の髪型セットなどは普段仕事をした中で男性としてはハードルが高いことであり育児休暇だからこそ取り組めたことだと思います。
 お互いがまず同程度に家事・育児ができること、そして、その中で役割分担を考えることができると女性の負担なく充実した育児に取り組みるのではないかと思います。そのためのきっかけとして育児休暇取得してよかったと思います。
 
○介護予防事業について
 理学療法士会やHARP(北海道リハビリテーション専門職協会)は、自治体や地域のサークルなど
から依頼を受けて、介護予防事業を行っています。病院に勤務している理学療法士が協力してくれ
ることが多いですが、育休後や休職中である方、フルタイムではなく徐々に復職していきたい方にも是非協力していただきたいです。
 多くは、午前のみ午後のみで、拘束時間は90分程度。週1回~月1回など、自分の都合に合せて選ぶことが出来ます。まずは見学してみてはどうでしょうか。
 病院には人員がたくさんいるけれど余っているわけではありません。それでも介護予防事業の依頼はあります。眠っている人材を掘り起こし、育休のような短期間ではなく、年単位で休職している人向けの事業展開も考えていきたいです。
 
5.復職支援WS参加者の感想
○様々な立場の方のお話が聞けてとても参考になりました。
○色々とお話出来たことで復職に対して不安が少しやわらぎました。
○具体的な工夫点も聞けてとてもためになりました。
○復職にあたり心構えが出来た。
○皆感じているところは同じだと感じた。
○割切って働くことも大事だと感じた。
○復職にあたって必要な知識・技術の講習会などもありましたら嬉しいです。
○色々な働き方があると分かりました。
○時短や他の制度等どんなものがあるかなど調べてみようかと思いました。
○自分の状況が話せて楽になった。
 
最後に
 復職支援WS内容のまとめはいかがでしたでしょうか?
 もし、何か不安なことや相談したいこと、介護予防事業の見学などあれば下記アドレスでご相談もお受けしています。
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